薬の知識

一般社団法人 山口県薬剤師会

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賢くつきあう薬講座

■医薬分業について

1.医薬分業って何?
医薬分業は、医師と薬剤師の役割を分離・独立させた上で、それぞれの専門性を発揮させようというものです。つまり、診察や診断、手術などは医師にやってもらう一方で、薬の調剤は薬剤師に専門にやってもらおうというものです。具体的に医薬分業の様子を説明すると、次のようになります。
まず、医師は患者を診察して、病気の治療に必要な薬を処方します。患者は、処方を書いた「院外処方せん」をもらい、それを自分の選んだまちの薬局に持っていきます。薬局では、薬剤師が処方せんに基づき調剤し、必要な説明などをして、薬を患者に渡す、というものです。
医薬分業は、西洋では昔から行われてきました。また、現在では、世界のほとんどの国で医薬分業が行われています。
日本でも医薬分業は、近年、急速に進みつつあります。外来患者の全投薬に占める院外処方せん発行の割合は、平成8年度で全国平均23.9%になりました。医薬分業が最も進んでいる佐賀県では、同年度48.3%の外来患者が院外処方せん方式で薬を受け取っています。

2.医薬分業だと、どうなるの?
医薬分業にすると、調剤は、病院などとは独立している「まちの薬局」の薬剤師が行うことになります。確かに病院にも薬剤師はいますが、個々の病院のスタッフとして活動しているため、他の病院や診療所で処方されている薬にまではなかなか目が届きません。しかし、まちの薬局はこれが可能な立場にあります。
そこで、医薬分業は、例えば、患者が複数の病院・診療所にかかっている場合など、それぞれの機関で処方される薬の間に重複や相互作用がないか等をチェックすることがより容易になってきます。また、薬の使い方や副作用など、薬について疑問や不安に思っていることを気軽に聞けるチャンスも増えることでしょう。
確かに、医薬分業では、薬局に足を運ばなければならないという手間が増えます。また、病院などから直接、薬をもらう場合に比べて負担額が若干増えるのも事実です。しかし、薬局を上手に選び、また、利用することによって、それ以上のメリットを期待できるのが医薬分業です。

3.医薬分業のもう一つの意味
医薬分業は、見方を変えれば、「処方」という患者の医療内容をオープンにする重要な仕組みであるともいえます。患者は、実際に自分の処方せんを手にすることにより、自分に出された薬が何であるかを正確に知ることが可能となります。
最近では、インフォームドコンセント、あるいは、「患者の知る権利」などという言葉を聞く機会が増えましたが、このような中で、患者自身が自分の医療内容の一部である処方内容を、自然な流れの中で知ることができるということは、非常に重要な意味を持ちます。
医療の内容が患者自身にも公開され、患者は納得して治療に専念する・・・これこそが、望まれる本来の姿ではないでしょうか。

4.処方せんはだれのもの?いつまで有効?
病院や診療所から患者に交付された「院外処方せん」には、患者の病気の治療に必要な薬の名前や飲み方が記載されています。しかし、それは単に薬の名前などが並べて書いてあるただの紙ではありません。その奥には、医師の診断結果とそれに対する処方意図があり、患者にとっては大切な1枚であるはずです。
当然のことながら、発行された院外処方せんは、患者自身のものです。そこで、それを調剤してもらう薬局を選ぶのも、患者の自由です。だって、自分の持ち物なのですから、どこに持っていこうが自由でしょう。さらには、1枚の大切な院外処方せんを調剤し、懇切丁寧に必要な説明を患者にする、そんな薬剤師のいる薬局を選ぶのも患者の権利というわけです。
さて、院外処方せんには、使用期間というものがあります。基本的には、交付の日を含めて4日以内と法律で定められていますが、ときに、医師の判断で4日以上の使用期間が必要とされる場合には、「いつまで」かが院外処方せんの所定欄に書かれるようになっています。しかし、使用期間はともかく、そもそも、その薬は病気の治療に必要とされているわけですから、なるべく早く調剤してもらうようにしましょう。
なお、万一、院外処方せんを紛失してしまった場合は、もう一度医師にかかり、処方せんを再発行してもらうことが必要です。いくら窓口で、「こういう薬だった」とか「いつもと同じ薬だった」と言っても、それだけでは、薬局で薬をもらうことはできません。また、調剤してもらった薬をなくしてしまったなどという場合も同様です。薬は人の命に関わる重要なものですから、1枚の処方せんでもう1回分(すなわち、薬局からすれば計2回分)を安易に出すことはできないのです。やはり、もう一度医師にかかり、処方せんを再発行してもらって下さい。「なんて融通がきかないんだ!」とお考えになるかもしれませんが、これらも薬を正しく安全に使うための方策なのです。

5.「クスリ屋さん」にもいろいろある
一般に「クスリ屋さん」と呼ばれているものは、実は総称で、実際にはいろいろな種類があります。 しかし、この中で、保険調剤ができるのは「薬局」だけです。
法律上、「クスリ屋さん」は、薬局と店舗販売業に分けられます。
薬局は、他の「クスリ屋さん」と同じようにカゼ薬などの大衆薬(一般用医薬品)の小売り販売も行いますが、さらに、医師の処方せんによる調剤を行うことができます。
また、薬局には、保険(健康保険)の扱いができる「保険薬局」と、そうでない薬局があります。皆さんが健康保険(証)を使って受診し、受け取った院外処方せんを調剤できるのは、保険薬局に限られます。
保険薬局というのは、薬事法という法律で「薬局」としての許可を得て、さらに、健康保険法という法律で保険薬局の指定を受けた薬局です。
保険薬局は、「処方せん取り扱い」とか「保険薬局」などの表示をしていることが多いので、すぐに見分けることができるでしょう。 ですから、保険薬局以外の「クスリ屋さん」に院外処方せんを持っていっても、「うちでは調剤できません」と断られてしまうことになります。ご注意を!

6.薬局の選び方と「かかりつけ薬局」
薬局は、院外処方せんを調剤してもらったり、大衆薬を購入したり、薬に関するいろいろな相談にのってもらうところです。急な場合には、休日や夜間に薬局へ電話をかけて相談をすることもあるでしょう。また、在宅で療養する患者では、薬局の薬剤師に家まで来てもらい、薬の管理に関するアドバイスをもらうこともあります。
最近、患者ごとに薬のカルテ、つまり「薬歴簿」を作成して、ここに患者の薬の使用歴をはじめ、アレルギー歴や体質、薬を服用して起こった副作用などについて記録している薬局が増えています。調剤や大衆薬の販売にあたっては、この「薬歴簿」を参考に、他の医療機関で処方されている薬と重複していないか、大衆薬との相互作用は大丈夫か、過去に問題のあった薬が処方されていないかなどチェックします。また、電話で相談を受けたときにも、当然この「薬歴簿」を活用します。
薬局を選ぶときには、地理的に便利で、こうした薬歴簿の作成などそれぞれのニーズにあったサービスを提供してくれる薬局を選ぶことが大切です。また、選定する薬局は、一つに定め、その薬局を「かかりつけ薬局」とすると好都合です。そうすることによって、あなたの薬歴簿の中身はどんどん充実したものになり、薬局の行うチェックやアドバイスがより的確なものになります。
なお、薬局を選定するときの目安の一つに、都道県薬剤師会が審査して認定する「基準薬局」があります。店頭に「基準薬局」と表示されていますので、すぐに見つけることができます。

7.「かかりつけ薬局」を決めよう!
あなたは、普段、薬を買うのも処方せんで調剤してもらうのもあの薬局、というように、いつも行く薬局を決めていますか?
薬局を上手に利用するこつ、それは大衆薬を買うにしても、調剤してもらうにしても、薬局をどこか一つに決めること、つまり、「かかりつけ薬局」を決めることです。例えば、自宅のそばの薬局、職場の近くの薬局、いつもいく商店街の薬局など、あなたの「かかりつけ薬局」を決めましょう。
かかりつけ薬局を持つメリットはいろいろ。例えば、2カ所の病院から処方せんが出たとき、同じ薬がダブっていないか、あるいは、大衆薬と処方せんでもらった薬を一緒に飲んでも大丈夫かなど、気軽に相談できますね。夜中や休日に薬が必要になったときでも、相談できるでしょう。ずっと前からかかりつけ薬局を持っていて、10年以上前に使った医薬品を調べてもらった、などという人もいます。かかりつけ薬局だから薬歴簿があったのですね。
よく、処方せんをもらうと、その病院や診療所の前にある薬局に行かなくてはならないものと勘違いしている方がいます。そんなことはありません。薬局は自分で選んでよいのです。例えば家の近くの薬局など、いちばん信頼がおけて、気がねなく相談できる薬局を自分で選んで、処方せんを持っていきましょう。