薬の知識

一般社団法人 山口県薬剤師会

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賢くつきあう薬講座

■大衆薬について

1.医者にかかる?それとも大衆薬を買う?
「あら、ちょっと鼻水とくしゃみ、カゼひいちゃったかな」
そんな場合、大衆薬を買ってきて3日間くらい飲んで良くなり、一件落着ということが多いのですが、3日以上大衆薬を飲んでいるのに体調が良くならない、あるいは、いつもと違うぞと思ったら、お医者さんへ。
でも、「このくらいなら大衆薬を・・・」という自己判断が、しばしば間違っている場合もあります。
大衆薬に頼りすぎて、重大な病気の早期発見や早期治療の機会を逃し、手遅れになっては大変です。しかし、どんなときにも、「すぐ病院へ」では、時間や医療費のむだ遣いにもつながります。
医者にかかるべきか?大衆薬を買うべきか?そんなとき、薬剤師のアドバイスを受けてみたら?薬を売るばかりでなく、病院に行ったほうがいいですよ、とアドバイスするのも薬局の薬剤師の重要な役割です。

2.大衆薬の賢い買い方
薬局・薬店に行くと、いろいろな薬が並んでいます。テレビのコマーシャルにしても、薬の宣伝が出てこない日は一日もありません。
これほど身近に、豊富にある大衆薬ですが、いざ購入するという段になると、その選択の動機が「コマーシャルに出てくるから」などという理由がほとんどで、薬剤師としてはとても残念なことです。
大衆薬で自分の体を守るためには、薬に対する自己責任・自己管理が大切になってきます。大衆薬の成分はどういうものなのか?注意すべき副作用は?自分の症状に最も合う薬は?数ある大衆薬の中から、的確な薬を選ぶためには、きちんとした知識が必要です。
そのためには、先ず店頭で、薬を使用するのはだれで(何歳)、いつから、どんな症状があるのか、また、何かほかに薬を飲んだり処置したりしたかなどを具体的に伝えます。その上で薬剤師などに何品目かの候補を選んでもらい、最後は自分の意志でどれを買うかを決めるとよいでしょう。
その際、現在何か別の病気があるか、あるいはアレルギーなどがあるか、また、女性であれば妊娠中か妊娠の可能性がなども必要に応じて伝え、相談に乗ってもらうことが大切です。特に、病院の薬を飲んでいる場合には、伝えることを忘れてはなりません。それから、副作用として注意する症状なども聞いておき、そんな症状が出た場合の対応も確認しておくとよいでしょう。
このように、店頭での薬剤師との会話こそ、大衆薬の賢い選び方の第一歩なのです。
なお、ときどき、外国の薬(大衆薬)を入手したいという人がいますが、これはあまりお勧めできません。理由は、その薬は外国で「医薬品」として認められたものであっても、日本では医薬品として認められたものではないからです。もしかしたら、日本では、安全性の面から使用を認められていないものが含まれているかもしれませんし、品質にも問題があるかもしれません。もし事故が起こっても、もっぱら自己責任ということになってしまいます。「どうしても・・・」という場合には、成分を調べて、それに近い内容の国内の製品を求めるようにしましょう。

3.忘れちゃいけない、病院の薬との飲み合わせ
大衆薬を購入する場合、何かほかに飲んでいる薬があれば、必ずそれを伝えてから選ぶことが大切です。大衆薬同士でも、それらを併用するときには、注意が必要です。
総合感冒薬、いわゆるカゼ薬を飲んでいるときには、他のカゼ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、乗り物酔い予防薬などは、薬の成分が重なる可能性があるので、これらは併用しないこと、と覚えておくのがよいでしょう。
これは病院の薬と一緒に大衆薬を使用するときも同じことで、同じ成分の重なるものや、病院の薬の作用を強めたり弱めたりしてしまう可能性のある薬、さらには、病気に影響を与えるものもあります。
薬を併用する場合には、「こんなのは関係あるはずがない」などと自己判断はしないで、必ず専門家のアドバイスに従うようにしましょう。

4.例えば、かぜ薬はこう選ぶ
カゼ薬とは、大衆薬の総合感冒薬のことをさしていますが、その中には、だいたい次の三つの成分が含まれています。

(1)熱や体のふしぶしの痛みを和らげる解熱鎮痛薬
(2)せき、たんを抑える鎮咳去痰薬や消炎薬
(3)くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑える抗ヒスタミン薬

このように、カゼ薬の中には、カゼによって引き起こされるさまざまな症状を緩和する成分が含まれていますが、決してカゼそのものを治すものではありません。
そこで、まず症状を確認し、できれば、せきなら「せき止め」というように、その症状を緩和する成分だけを含む薬を的確に選ぶことが大切です。
カゼ薬に限らず、海外旅行などの際には、急病に備えて、日ごろ自分が使い慣れた薬を日本から持参するのがよいでしょう。現地の薬はその国の人の体質や体格に合うように作られているはずですから、日本人に完全にマッチしているとは必ずしもいえません。ちょっと考えてみても、日本人と体格がまるで違うことがあります。また、薬の代謝にかかわる体内の酵素の種類や強さも、人種によってかなり違いがあるといわれています。そこで、いくら添付文書どおりに使用したとしても、日本人にとっては量が多かったなどのため、思わぬ事故にもつながりかねません。慣れない外国語を読み間違えて、用法や用量を誤る可能性もあるでしょう。やはり、日本人には日本で認められた薬が無難な選択といえます。

5.よく見て!・・添付文書
大衆薬のパッケージの中には、薬の説明書、すなわち添付文書が入っています。この添付文書には、だいたい次のようなことが書かれています。

●効能・効果:薬の効果が得られる諸症状
●用法・用量:1回○錠、1日○回食後、など
●使用上の注意:服用前に医師や薬剤師に相談した方がよい人、服用上の注意、副作用や相互作用の注意、薬の保管上の注意、など

小さな紙に、小さな文字で書かれた添付文書、しかも内容がよくわからないとなると読みたくなくなり、「用法と用量」だけ見て、使用上の注意はパスということになりがちです。
でも、使用上の注意に書かれていることは、とても大切です。思わぬ副作用や相互作用を避けるためにも、ぜひ読んで、注意して薬を使っていただきたいと思います。 じっくり読んでみると、「腎臓に障害のある人は医師、薬剤師に相談して下さい」とか「牛乳アレルギーのある人は・・・」などと書いてあることもあり、なるほどとうなづくようなこともあります。
もしよろしかったら、薬局店頭で薬剤師と一緒に読んでみませんか。

6.これ、薬じゃなかったの?医薬部外品
錠剤の形をしていて、一見どちらも同じように見えるビタミン剤。でも、一方は医薬品で、一方は健康食品。何だかその名前からすれば、医薬品には副作用がありそうだけど、一方は健康食品だから、安全で健康のためにも良いものというような気がします。しかし、決してそんなことはありません。
確かに、同じような成分が含まれ、見た目にも同じとなれば、そう思うのも無理はないかもしれません。しかし、病気の治療や予防に用いられるのは医薬品だけ。たとえ、錠剤の中に同一成分が含まれていたとしても、法に基づいて、それがきちんと溶け、体の中に吸収されて「ちゃんと効く」ことが確認されているのは、医薬品の方だけなのです。
健康食品は、あくまでも「食品」として日常生活の中で利用するものであって、決して医薬品としての「効き目」を期待して用いるものではありません。しかし、安全性という面から、飲み過ぎ(食べ過ぎ?)はやはり問題となります。飲むときの目安が記載されていますから、それを守ることが大切です。でも、決して薬より安全というわけではありません。

7.健康食品は薬より安全?
「医薬部外品」って聞いたことはありませんか?よく薬用歯みがきなどのチューブに書いてありますね。この医薬部外品とは、医薬品とは違って、ある程度の薬効はあって、生体に対する作用が穏やかなものとされ、医薬品に準ずるものとして法律で定義されています。例えば、口中清涼剤、体臭防止剤、育毛・除毛剤、薬用化粧品、薬用歯みがき、薬用石ケンなどがあります。
医薬品は、生体に対する作用がはっきりと現われるものですから、その使用にあたっては、医師の指示に従うか、あるいは、その販売は薬局、薬店でのみ行われます。
しかし、医薬部外品は生体に対してほとんど危険のないものですから、製造には承認と許可が必要ですが、販売については特に規制はなく、スーパーや雑貨店などどこでも買うことができます。

8.スイッチOTC薬って何?
薬には、医師が診察して処方する薬と、まちの薬局・薬店で買う大衆薬があります。
ところでスイッチOTC薬という言葉があります。これは、医師の処方せんがなければ使用できなかった薬をOTC(オーバー・ザ・カウンターの略、カウンターごしに売られる薬、大衆薬を意味します)薬に転用(スイッチ)したものという意味です。元来、医師の判断がなければ使用できなかった薬ですから、作用も強く、その使用は慎重にする必要があります。
「なんだ、今まで病院でもらっていた消化性潰瘍の薬が薬局で買えるんだ。病院に行くのは時間がないから薬局で買えばいいんだ」といった自己判断で飲むのは、やめましょう。薬剤師に相談するとともに、薬についている説明書(添付文書)をよく読み正しく使用することが大切です。医師の判断ではなく、あなたの判断で使用できるようになった作用の強い薬です。事故責任の大切さを忘れないで下さい。

「賢くつきあう薬講座」
厚生労働省医薬安全局監修
日本薬剤師会編より