薬の知識

一般社団法人 山口県薬剤師会

山口県吉敷下東3丁目1番1号

Tel:083-922-1716
Fax:083-924-7704
office@yama-yaku.or.jp

薬剤師の歴史

1.日本は「クスシ」

 「薬剤師」って、一般のひとにはいまひとつ実体のつかめない職業ではないでしょうか。たとえば医師は「**のお医者さん」というように日常会話で出てくることもあるけれど「薬剤師」にはそんな別名もないし、「医者の不養生」みたいに、ことわざに登場することもないし・・
 江戸時代以前の漢方医の時代は、そもそも「医師」が薬を調合していたので「くすりや」といえば薬草 の卸問屋か「万金丹」みたいな売薬の製造元のことでした。「くすし」という言葉には、「医師」という 意味もあるほどだったので、この時代はまだ医師と薬剤師が未分化の状態と言えるかもしれません。

2.西洋はどうだった?

 ところが、ヨーロッパでは比較的早くに医師が薬を調合する習慣がなくなりました。一説には、あちらでは毒殺が非常に多くて、うっかり医者に薬をもらうと一服もられてしまうかもしれなかったから・・と言われています。実際、あちらの小説には「毒殺」が頻繁に登場します。古代ローマには既に、砒素・ドクニンジン・毒キノコ・トリカブトなどの代表的な毒物が出そろいますし、ハムレットの父親は「ヘビナンの毒」をもられて死んでいます。もっとも「ロミオとジュリエット」に毒薬を売ったのは「薬剤師」だそうですが・・

3.最初の薬剤師の仕事

 では、そもそもの薬剤師の仕事って何でしょう
 はじめ、薬剤師とは「薬の善し悪しを見分けられるヒト」であったようです。洋の東西を問わず、昔の「薬」は薬草がほとんどですから、どれが本物か見分けるのには長年の知識と経験が必要でした。特にヨーロッパではマラリアの薬「キナ皮」の偽物が多くて、これの真贋を見分けるのが薬剤師の重大な仕事でした。
 つぎに、いろいろな薬を「作る」仕事が求められました。昔は錠剤も軟膏もいちいち「手作り」でしたから、これもやはり知識と経験の必要な仕事でした。ちなみに、今は薬として使われていないけれども、もともとは薬剤師が作っていた「薬品」として石鹸、香水、ベルモット(ブランデーに薬草をひたして作ったリキュール)、黒色火薬、それにトマトケチャップがあります。(トマトケチャップをどんな病気に使っていたのか知りたいものです)

4.現在の薬剤師の仕事

 今、薬を作るのは製薬会社の仕事であり、薬剤師が直接薬を作ることはめづらしくなりました。(それでも、どうしても必要なのに売っていない薬を作らなければならないこともあって、それはそれで薬剤師の腕の見せ所でもあるのですが)また、薬の品質を確保するのは今もかわらぬ薬剤師の大きな仕事ですが、薬の種類が増えた現在では、分析するのに1台ウン百万円もするガスクロマトグラフのような大がかりな器具が必要です。一軒一軒の薬局でこんな機械を持つことは出来ませんので、現在では薬剤師会が「医薬品試験センター」を持っていて、ここで検査するようにかわってきました。
 「じゃあ、今の薬剤師はひまでしょう?」
 いえいえ、薬剤師には新たに「情報伝達」と「薬害防止」という2大業務が加わりました。

5.なぜ薬のことを知らないといけないの?

 「今は薬局でいろいろと説明を受けるんだけど、よくわからないしめんどくさい。薬のことはみんな病院や薬局がやってくれるんじゃないの?」
 「情報伝達」は最近の「情報開示」の傾向や人権尊重の立場から、治療方法・服用薬について患者さんに知ってもらおう、いや、知ってもらわなくてはならない、という意味合いがあります。
 患者さんには、ひとりひとり異なった生活があり、ひとりひとり異なった価値観・好みがあります。同じ病気でも、患者さんが違えば治療法も、治療薬も違ってきます。昔は「命さえたすかれば・・」と患者さんは我慢をしてきました。今は、同じ治るにしても、できるだけ患者さんの日常生活を損なわない方法を、患者さんといっしょに考える時代です。
 また、現代は慢性病が多くて、患者さんは長く薬を飲み続けなくてはなりません。そうすると、どうしても薬を飲み忘れたり、飲むのをやめてしまったり、反対にあちこちから薬をもらっていっしょに飲んだりするひとがあらわれます。また、薬には副作用がつきものですが、万一、副作用があらわれそうだったら、早めに見つけてそれを未然に防ぐためにも、患者さんに薬についての知識をもってもらうことが必要です。薬剤師は今、このような新しい仕事をしています。

6.よき友くすし

 いかがでしょう。すこしは薬剤師について興味を持っていただけたでしょうか。あなたの、薬剤師に対する印象はどんなものでしょう?一般に薬剤師は医療職の中でも「おとなしくて、(クソ)まじめで、クラい」というイメージを持たれているようです。毎日、ちいさな錠剤相手にちまちました仕事をしているからかそういうイメージなのかなあ、とも思いますが、もちろんとても積極的で、ユニークで、(大丈夫かなと思うくらい)明るい薬剤師もいます。「よき友・・・くすし」と徒然草にもあるように、お知り合いに薬剤師がひとり居るとなかなか便利なものです。今度、薬局へ来られた時には、何か聞いてみられてはどうでしょう?お待ちしています!